発表会ボーカルクラスへ出演の皆様へ

 

昨年の発表会アンケートを受け、ボーカルクラスの音の届け方(PA)を改善したいと考え、まず今年はこちら側で対処できることをすることにしました。ボーカルクラスの場合はダンスと違って、自ら発生した音を観客に届ける必要があります。ダンスの場合はいわゆるバックグランドミュージック(BGM)ですので、マイクを介して自分たちの音を拾ってしまうことは無いのですが、ボーカルクラスとなるとマイクが必須となり、マイクに入った音を増幅して届けることになります。

そのマイクにシンガーのみの声が入れば良いのですが、少なからず届けた音も反響して入ってしまいます。そして基準値を超えてしまった瞬間にあの嫌なハウリングが起こります。そうなるとホール側の対応としては、そのハウリングが起こってしまう基準値のかなり下で音を届ける選択肢を選んでしまいます。ハウリングはアンプやスピーカーに甚大なる被害を与え、場合によっては深刻なダメージが残る(ビビり音)こともあり、そうなるとあの膨大なスピーカーを買い替えるしかありません。それを未然に防ぐためにも絶対にハウリングは起こさせない選択をします。

では、そのハウリングを起こさせないためには、マイクに入ってしまう生声以外のスピーカーから出た音の音量を下げる(これが市民館の対応)ことの他、モニタースピーカーをオフにする選択もあります。もし仮にダンスの場合、客席以外に音がなくてステージ上では無音に近かったらどうでしょう。踊れません。それと似ていてボーカルクラスの場合もシンガーの耳に伴奏と自分の声が返ってこなければ、勘で歌う以外は歌えないです。プロなら勘でもある程度はうまく歌えるでしょうけど、そもそも歌いにくそうですし、そんな環境は楽しくないでしょう。耳に伴奏と自分の声を返してあげたいけど、マイクのある口元に返ってくるとハウリングの危険性が高まります。耳と口は近いのに・・・。困ったものです。

 

そこで!
今年からイヤモニを導入します。
イヤホンモニター略してイヤモニ。

 

本名はインイヤーモニターですかね。アーティストさんたちが付けているあれです。人によってはイヤモニにスワロフスキーを散りばめているなんて人もいますね。今やイヤモニはアーティストさんのステージファッションの一部なのかもしれません。インイヤーのみでモニター(音を聞く)するわけですから、ステージ上は無音で問題ありません。客席側にのみガンガンに音が行ってくれていてステージ上ではその客席からの返りのみしか聞こえない状態なら、観客の耳がつぶれるような爆音で無い限り、ステージ上のマイクで拾ってハウリングすることはありません。

その他、イヤモニに慣れておかなければいけません。実はLEGEND公演の時、ハンドサインさんのタツさん(足立梨花さんと結婚された方)ですらイヤモニを嫌がって外して試しましたが、返しのモニター(この場合は映像ではなくモニタースピーカーのこと)では聞き取りにくかったようで、イヤモニに戻していました。プロでもそうなのですから、耳に何か入れて歌うのは慣れる必要があるとは思います。しかし反面、慣れてしまえばやっぱりイヤモニは最高です。ダイレクトにクリアな音で自分の耳に伴奏も自分の声も入りますので、これほど歌いやすい環境はありません。自分の音程がズレているところなども分かりやすいらしく、使用して練習することで歌も上手くなっていくようです。

 

さて、イヤモニについてはこのくらいで、次にマイクについてです。

 

マイクはすごく小さな音の振動をとらえ、それをミキサーやアンプなどで増幅することで大きな音に変えていきます。ということは、その小さな音に対する掛け算で成り立つことが分かると思いますが、急に大きな音を出すといきなりクリップ(音が割れること)します。このクリップもPA装置に深刻なダメージを与えることがあります。では、クリップさせないためにはどうしたらいいのかと考えると、これもハウリング同様に増幅する値を下げることでクリップを防ぎますが、増幅を下げるのですから当然ながら音量も下がります。

増幅値を下げてしまう以外の対処法はひとつ、マイクロフォンに入る音量を一定の音量にすることです。ボーカルに強弱、抑揚をつけないでくれと言っているわけではありせん。マイクとの距離を一定に保ってくださいということです。特に息を強く吐くような歯擦音(しさつおん)がダイレクトにマイクに入るとクリップしやすくなります。歯擦音とは日本語なら、さしすせその事です。英語や外国語の場合は分かりませんが、恐らく日本語のさしすせそと同様の発生だと強く空気をマイクにぶつけるような感じになると思います。つまり、ピンマイクなどは距離が近すぎても遠すぎてもダメです。ある程度は離れた距離感で、距離感を一定に保って歌えば、上手に音を届けられると思います。

しかし、踊りながら歌うようなミュージカルなどは、どうしても口とマイクの距離を一定に保ちにくいものです。そこで登場するのが、ヘッドマイクです。頭に取付、口元にマイクの先を持ってくることで一定距離を保ち続けることが可能です。これはピンマイクのような全指向性ではなく、単一指向性のマイクとなりますので、距離が近すぎてダメということはありません。反対に芸能人が髪の毛の中(ウィッグの中)に隠すタイプのヘッドマイクを付けているのを見たことがあると思いますが、これはピンマイク同様に全指向性となっています。単一指向性のマイクの利点は、雑音が少なくクリアにシンガーの生声を拾ってくれるところですが、反面では距離が少しでも遠くなると雑音と同じく聞こえなくなります。ピンマイクなどの全指向性マイクは雑音も拾いますが、一定以上の距離から多少前後しても強弱は付いてしまうものの音は拾ってくれます。

上記のような指向性については、マイクそのものの音の拾い方になりますので、マイク固有のものになります。ちなみにカメラ用のマイクでは高級ラインになると指向性を切り替えて使えたりするものもありますが、ボーカル用のマイクでは切り替えて使う必要もないので、使い方に応じた指向性マイクを選べば良いと思います。

 

 

【イヤホンについて】

これまでは、ピンマイクのみ(耳にはイヤホン無し)で会場に流れる音源と発した自分の声を聞きながら歌っていましたが、今年はスクールで「耳元で音源が流れるよう」送受信機(イヤモニシステム)を購入しましたので、皆様共通で「片耳または両耳イヤホン」をご準備ください。イヤホンは、「ミニピン」タイプのものであれば何でも大丈夫です。片耳用なのか両耳用なのか、色や形はお任せいたします。ミニピンは、2極でも、3極でも、4極でも対応可能ですので、極数は気にしないでお好きな色や形を選んで購入してください。

 

【ヘッドマイクについて】

これまでは、ピンマイクまたはスタンドマイクでのステージ披露でしたが今年度よりワイヤレスヘッドマイクでのステージ披露も対応いたします。

衣装につけるピンマイクとは違い、ヘッドマイクはマイクと口元が一定距離に保たれますので安定した声量とよりクリアな歌声を会場で響かせることが可能です。また衣装の邪魔になりませんので、衣擦れによるガサガサ音や身振り手振りのある動きをしても問題なくステージ披露ができるかと思います。

 

ワイヤレスヘッドマイクについても、各自でご用意していただくことになりますのでいくつかオススメの商品をピックアップしました。

会場となる幸市民館の舞台担当の方へ確認をし、シュア製品のものでコネクターが「TA4F」タイプであれば問題ないとのことでしたので以下ピックアップ商品は全てコネクター「TA4F」のものです。シュアと言っても聞きなれないかもしれませんが、プロユースの多くでシュアが使われていますし、お値段もバカ高なやつもシュアです(笑)ヘッドマイクが10万越えなんてものもあります。そして、現時点では非常に残念ながら幸市民館と同じシステムをスクールで用意することができません。ざっと計算しても発信機、受信機だけでも30万くらいしますし、ボーカルクラスを充実させたい気持ちはあっても、ちょっと手が出にくい状況です。(イヤモニシステムを揃えただけでも褒めてやってください)

上記のことから、シュア製品以外でもTA4Fであれば良いと思いますし、安価なものでも音は拾ってくれるとは思いますが、同時にマイクの性能がダイレクトの歌声に響くことも事実です。幸市民館に備わっているシュアの送信機とセットになっているラベリアマイク(ピンマイク)は、10万コースのセット品ですから単品でも数万円となるのかもしれません。さすが公共ですし、民間では二の足を踏む高いレベルを維持しています。

下記では、「サウンドハウス」という音響製品も広く取り扱いのあるサイトからピックアップしています。(Amazonなども検索しましたが、サウンドハウスの方がお安いようです。スタジオで使用しているデッキや照明製品などの多くはサウンドハウスより購入しています。)

 

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検索ワード:ワイヤレスヘッドマイク
メーカー:SHURE(シュア)
コネクター:TA4F
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★サウンドハウス【コネクター:TA4F

・SHURE ( シュア ) / WBH54T ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥49,020
・SHURE ( シュア ) / WBH54B ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥49,020
・SHURE ( シュア ) / WCM16 ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥32,800
・SHURE ( シュア ) / MX153C/O-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥17,800
・SHURE ( シュア ) / MX153T/O-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥17,800
・SHURE ( シュア ) / MX153B/O-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥17,800
・SHURE ( シュア ) / SM35-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥13,200
・SHURE ( シュア ) / SM31FH-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥12,920
・SHURE ( シュア ) / WH20TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥11,880
・SHURE ( シュア ) / PGA31-TQG ワイヤレス用ヘッドセットマイク ¥6,630

ワイヤレスヘッドマイクは、ピンキリ価格でそれぞれ形や色、性能なども違います。高額なら必ずしも良い音を拾えるマイクであるとは保証できませんが、同一メーカーの場合にはカプセルの違いや開発費の違いが価格に反映されているものと想像できます。これを購入してくださいとお勧めするものはありませんので、各ご家庭でどの製品にするのかは判断していただければと思います。

通常のスタジオ練習では、イヤホンを使用(耳元で音源を流す)することは可能ですがワイヤレスヘッドマイクは、送信機が幸市民館にかありませんので4月の場当たり日までにご用意いただければ幸いです。

 

よろしくお願いいたします。